新春セミナー開催ご報告

Topics 2022.02.23 00:08:27

 令和4年1月28日(金)、札幌パークホテル地下2階「パークプラザ」にて、行政書士制度70周年記念事業として新春セミナーが開催されました。前日の1月27日から2月20日まで「北海道におけるまん延防止等重点措置」が発令されたこともあり、急遽Zoomを使用して受講できる体制も準備し、対面とオンラインのハイブリット開催となりました。参加者は、対面が35名、Zoomでは43名でした。

 初めに、北海道行政書士会 宮元仁会長より新年の挨拶並びにコロナ感染症拡大における現状とそういった中での業務のあり方についてのお話がありました。次に、日本 行政書士会連合会 常住豊会長より、コロナ感染症に関連する給付金並びに支援金の代理申請業務において、行政書士の独占業務であるにもかかわらず、6割は他の士業に業務を奪われたということの対策として、今後はもっと行政との関わりの重要性を考えるべきとのお話がありました。最後に、北海道行政書士会 佐藤良雄相談役より、今後のデジタル化に向けて税理士会との連携の必要性についてのお話がありました。

 セミナーは、2部構成となっておりました。第1部は滋賀県行政書士会 名誉会長である盛武隆先生による、「今だから代理権獲得逸話を大好きな北海道で語る」というテーマでの講演でした。

盛武講師

《講演の要約》

 時代の変化と共に、行政のデジタル化が推し進められている今日ですが、その道のりは容易なことではありませんでした。紙の書類をオンライン化するためのシステムの装備は、技術的に難しく、費用もかなりかかりたまし。そういった道のりを経て、現在では手続きがオンラインで可能となってきました。委任状や押印が不要な手続きもあり、今まで行政書士の独占業務であった手続きが誰でもできるようになってしまい、業務が減るのではという危機感があります。このことは行政書士だけではなく、士業全体の業務に共通します。

 第2部は京都府行政書士会 常任理事である服部真和先生による、「デジタル社会の行政書士と80周年時の行政書士像を語る」というテーマでの講演でした。

服部講師

《講演の要約》

 冒頭で、「デジタル」と「アナログ」との違いの説明があり、そのあとに「IT社会」と「デジタル社会」と定義の説明がありました。「IT社会」とは、「情報がヒト・モノ・カネと同等の価値を有し、それらを中心とする社会」を意味します。「デジタル社会」とは、「今まで取得してなかったデータの取得をする社会。言い換えると、従来見えなかったもの、事を見える化する社会」を意味します。現在、行政書士に代理権を授与(委任)する場合、行政書士の顕名する行為として委任状を通して本人確認をします。今後は、顕名に換わるものとして電子委任状等が用いられていくであろう。そして、AIが発展することで、不要な職業が増えてくるが、対面を重要視する職業は残るであろうという見解でした。

 第1部と第2部を通して、共通するテーマは、デジタル社会の到来がこれまでの行政書士業務に変化をもたらすということでした。これまでも、「行政のオンライン化(デジタル化)」によって、将来行政書士は不要となる時代が到来するかもしれないと危惧する声が聞かれていました。しかしながら、今まさに、行政書士がAIでは不可能な能力(人にしかできないこと)を要する職業へと移り行く過渡期ともいえます。行政手続きがオンライン化していく中で、生き残るにはどうしていくべきかと考えさせられる講演でした。それゆえに、今回の新春セミナーのテーマは、全国の行政書士の関心を集めるもので、大変高い評価を得ました。