1、生活保護の申請件数の推移
平成21年3月3日付けの北海道新聞の記事によると、全国17の政令指定都市が今年1月に受け付けた生活保護の申請件数は、前年同月より約54%増え、名古屋市( 1,714件。前年比252%)などは世界不況に伴う雇用情勢の悪化によるものと見られているが、札幌市(604件。前年比145%)では、今のところ非正規労働者の件数は52件で、全体の1割程度だったという。
2、離婚と生活保護
(1)生活保護を受けよう!
さて、幼いお子さんを抱えながら、已むを得ない事情からご主人との離婚を選択する女性は少なくないと思います。
そして、結婚の際に勤め先を退職されて、専業主婦として幼いお子さんを養育されていたということも珍しくないでしょう。
この場合には、離婚をされた多くの女性は、お子さんを養育しながら働くために、就職活動をしなければならなくなります。
お子さんが1人でも大変なのに、2人以上のお子さんをお母さん1人で養育されるご苦労は並大抵のことではないと推察いたします。
直ちに就職が決まり、収入が得られればいいのですが、そういかない場合の選択肢として生活保護があります。
(2)生活保護と養育費
離婚をして、お子さんがお母さんのもとで監護されている場合にも、お父さんはお子さんの父親であることに変わりはなく、お母さんのみならず、お父さんにもお子さんを養育する義務があります。
そこで、離婚を選択したお母さんが生活保護申請をした場合にも、地方公共団体の生活保護に関する担当者から、まずはお母さんの自活とお父さんからの養育費などの支払を求められます。
(3)養育費の請求の仕方と離婚についての行政書士の関わり
お父さんが養育費をきちんと支払ってくれればいいのですが、そういかない場合が多いでしょう。
離婚後でも離婚協議書を作成することや、支払が長期にわたる場合には公正証書にしておくことをおすすめします。
これらの作成については、われわれ行政書士がお手伝いすることもできます。
そして、公正証書で養育費の支払を取り決めた場合にお父さんが養育費を支払わないときは、強制執行をすることもできます。
どうしても養育費を支払わないお父さんに養育費の支払を求める調停は、ご自身単独で行なうこともそうハードルは高くありません(費用は印紙代と切手代をあわせて数千円程度)。
たとえば、札幌家庭裁判所家事手続案内テレホンサービスは、011-221-7830で受け付けています(自動音声・24時間受付)。
また、札幌家庭裁判所の相談コーナーでも、事前の予約が特に必要なく、無料で相談にのってもらえますし、必要な書類の作成のアドバイスをしてもらって、その場で調停を求める書類を完成させ、提出することもできます。
なお、お父さんがパチンコなどのギャンブルで借金を重ね、自己破産して離婚した場合では、借金は支払を免責されても、子供の生存にかかわるこの養育費は支払を免責されることはありませんので、念のため。
お父さんは、自分の食べるご飯を半分に減らしてでも、子供を養う責任を持っているのです。
(4)生活保護についての行政書士の関わり
こうして養育費の獲得に成功したお母さんでも、生活保護を受給することにはまだ手間がかかります。
なぜなら、たとえば運転免許証は、所定の要件を満たせば行政側に裁量の余地がなく、交付されるのですが、生活保護の受給の決定には行政側に多くの裁量の余地が残されているからです。
もっとも、ご本人と母親で窓口に出向いて生活保護の申請を求めたのに、話がうまく伝わらず、追い返されたのが、私が同行して再度事情を説明し、行政側の要求する提出資料も満たした上でですが、約2週間後に受給が決定したというケースもあります。
行政書士は身近な街の法律家として皆さんのご相談に応じておりますので、お気軽にご相談をお寄せください。