〜小角和子先生・赤塚明美先生にお聞きしました〜
〜その1:小角先生〜
小角和子先生
札幌支部 昭和58年登録
社会保険労務士兼務
現在:札幌支部建設労務担当理事
Q1 登録して今年で何年目になりましたか?
小角先生) 昭和58年3月開業で、今年で満26年になります。
Q2 登録したきっかけを教えてください
小角先生) 昭和57年に社労士試験に合格し、翌年に行政書士と合わせて 開業しました。
《家事関連について》
Q3 自宅開業の場合、プライベートと仕事をきっちり分けることが難しいと思いますが、メリハリを付けるために、何か工夫していることはありますか?
小角先生)当初は自宅開業で、そのころは仕事量も少なかったのですが、パートの補助者を採用した頃から自然と公私のけじめが出来てきたと思います。しかし自宅はテレビ等の誘惑が多く、メリハリとは程遠いものでした。
Q4 夕食の準備が遅れそう、あるいは、どうしても業務で疲れて準備もままならなくなってしまったときに、どのようにして乗り切っていますか?
小角先生) 思い出話になりますが、子供が小学生のときに夫が他界し、否応なく私の仕事と家事の比重が逆転しました。そこで考えたのは、家事や夕食作りを分担することでした。食材の宅配サービスを受け、料理本を見ながらの夕食作りです。母子3人で当番制にしたことは、小学生の子供二人にとってきつかったと思いますが、一生懸命作ってくれました。娘はこの経験で、野菜の切り方等料理の基礎を学び、息子のフライパン捌きも玄人はだしとなりました。最近子供たちとその頃の思い出話をすることがあって、親を恨むこともなく、懐かしがってくれていましたので、内心ほっとしました。
でもあの頃の私には余裕がなく、子供が手伝ってくれたことをもっと褒めてあげればよかったと今更ながら、後悔しています。子供が小中学校のときは母子3人で生き抜いたという気持ちです。現在は子供たちも成人し独立していますので、私は無理をしないで家事は適当にしています。
《育児関連について》
Q5 子育て期間(生まれてから小学生くらいの間)で、仕事をするときに工夫したスケジュールがあれば教えてください
小角先生) 予定が立つ学校の参観日等は最優先にしました。また子供が学校に行っている間に出来るだけ外出を済ませ、学校から帰ってきたときに家にいるように心がけましたが、「一番いやなことは、学校から帰ってきたときにお母さんが家にいないことです」と書いた息子の作文を見たときはさすがに堪えました。しかし行政書士業は、勤務するよりは、ある程度時間の融通が利きますのでその点は良かったと思います。
Q6 子育て期間が終了してから(中学・高校生〜大学生)、仕事や生活リズムはどのようにかわりましたか?
小角先生) 子供が高校に行く頃から時間が自由に使えるようになりました。
Q7 業務中に子供の急病など突然のアクシデントの時、そのときどんな対応をされましたか?
小角先生) 子供を優先しましたが、どうしてもそばに居てあげられないときは、出先からこまめに電話をして様子を聞きました。子供も小学生でしたので、大きな病気はなく、風邪で熱がでる程度がほとんどでした。冬は私の母が来て子供を見てくれましたので、安心して仕事が出来ました。
Q8 「お母さんの働く姿」を、お子様達は日頃見ていると思いますが、働く姿を見せることでお子様達に、なにか影響を与えていると感じるときはありますか?
小角先生) 言葉で教えなくても、自立心が養えたのではないかと思います。親の仕事をある程度理解することが出来る環境でしたので、それは子供の将来のためにはプラスになることだと思います。電話でお客様と話していると、心配そうに黙って聞いていることもありました。生きる厳しさを膚で感じていたと思います。二人とも進学や就職の時は自分の考えを通し、適性をしっかりと考えていました。
幼い時から母親の働く姿を身近で見ていますので、娘も息子も社会人として甘えることなく、その覚悟が自然と備わっていたのかも知れませんね。
《行政書士業務について》
Q9 開業当初、営業活動はどんな形でされていましたか?
小角先生) 知り合いなど誰もいない江別市で開業しました。毎日電話の前で「どこかから電話が来ないかな」と待っていましたが、来るはずもなく市役所の商工課に相談に行きました。
そこで教えていただいたことは「一軒一軒足で歩いてみては」というものでした。
思い通りには行きませんでしたが、5〜6年たってから「あなたの名刺があったので」と電話を頂いたときは、とても感激した記憶があります。一人一人のお客様とはプロセスがあり、仕事をいただけることにいつも感謝しています。
Q10 女性ならではの苦労や、女性だからできることはありますか?
小角先生) 人としての未熟さを痛感したことはありますが、女性だからといっての苦労は思い出せません。逆にお客様から「話し易い、相談し易い」と心を開いていただいたことのほうが多かったですね。
Q11 長く業務を続けるにあたって、原動力となっていることはどんなことですか?
小角先生) 現実的には生活のためですが、仕事を通して色々な人との出会いがあって楽しく仕事をさせていただいています。お客様から頼りにされたり、感謝されることが栄養剤になっています。行政書士という職業は、私の人生にとってとてもよい選択だったと思っています。健康な体に生んでくれた両親にも感謝しています。
Q12 仕事をする上で、これだけは欠かせないことはどんなことですか?
小角先生) お客さまが何を考え望んでいるか、出来るだけ正確に把握し、相談していただきやすい状況を作ることを考えています。 間違った知識を持っている場合には丁寧に説明して理解していただけるように心がけています。
Q13 いちばんうれしかった業務に関するエピソードを教えて下さい。
小角先生) 年末の12月中旬、初めてのお客様から農地法の依頼がありました。事情があって、どうしても今年中に申請してほしいというものでした。
時間がありませんので、一寸先も見えない猛吹雪の日に完全武装でゴム長靴を履き、ストールを首から頭にかけ、ぐるぐる巻きにして命がけで某町の現地調査にいきました。
申請先の担当者に事情を説明し無理をお願いし、ぎりぎりで最終営業日の 12月28日に何とか申請することが出来ました。
現地調査時のいでたちにお客様から「根性のある人だ、頼めば必ずやってくれる」と感心され、それからは色々なことで相談や依頼を受けるようになりました。